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その赤子を助けたのはただの気まぐれだった。
ただ目の前に目障りな奴らがいたからそいつらを殺した。そいつらが誘拐してきたらしい赤子を助けたつもりはなかったが、その赤子が混じっているとわかると、興味がわずかに出た。
「クク…拾ってやるよ。俺を楽しませてくれよ?」
拾い上げた赤子はただ泣きもせずにこちらをじっと見つめていた。
「ますたー、おかえりなさい」
そう言いながらとことこと走りながら俺に近寄ってくる子供の頭を乱暴にかき回す。
「リィン、土産だ」
大きな犬のぬいぐるみを子供に──リィンに渡す。
リィンという名前は赤子を拾った時に着ていた服に書かれてあったのをそのまま使っている。名前を考えるのめんどくせぇしな。
「いいん、ですか?」
「あぁ、お前に買ってきたやつだからな」
遠慮がちにそれでも嬉しそうにぬいぐるみを受け取るリィンを抱き上げ、ソファーに寝転ぶ。
「ますたー、もうお仕事は終わりですか?」
「あぁ。だから寝るぞ。お前も寝ろ」
頭をなでてやると、すぐにうとうととし始め、しばらくすると完全に眠りに入った。
最初拾った頃は、ほんの僅かな興味だけだったが、数年一緒にいただけだが、リィンだけは手元に置いておいても苦にならないことを思うと、どうやらリィンだけは特別らしい。同じ混じってるのもあるかもしれねぇが。
「早く育て、リィン。そして俺の対となれ」
リィンが寝やすいように抱き直し、起きたら遊んでやるかと考えながら俺も目を閉じる。
俺の予定が何も入ってない時はずっとリィンに剣を教えていた。
物覚えもよく、修得も早い。教えるこちらも楽しく感じる。
「今日はここまでにするぞ、リィン」
そろそろ疲れてきたような表情をし始めたリィンにそう告げると、リィンは俺に対して律儀にお辞儀する。別にそんなことしなくてもいいんだが。
「アリアン様がちゃんとしたほうがいいですよ。って言ってました」
「そうか……俺は特に気にしないんだが」
「ますたーはちゃんとしないんですか……?」
不思議そうに首を傾け聞いてくるリィンに内心かわいいなとか思いながら、めんどくせえといつものようにいうと、何故かリィンがしょんぼりとしたのを見て、これ以上は何も言わずにおこうと決めた。
そんな俺を何を思ったのか、リィンは不安そうにこちらを見ている。
全く、何をそんなに不安がるのか。
俺がここまで構ってやったりするのはリィンだけなんだが。
「ま、ますたー……?」
「何を不安がる、リィン? 俺がこんなに構ってやるのはお前だけだぞ」
「ほんとう、ですか?」
「他の奴らはどうでもいい。だがお前は別だ、リィン」
抱きかかえて言い聞かせる。
「いいか、リィン。その力も使いこなせ」
「この力で、誰かが傷つくのは、見たくないです……こわい、です」
「怖いか? 俺と同じ力だぞ?」
「ますたーと同じ、ちから……?」
「あぁ、そうだ。それでも怖いか?」
「ますたーと、同じちから……こわく、ないです」
そういっているが、まだ不安そうだな。
まだリィンは幼いからな。
「お前はまだ幼い。成長していく過程でその力を使いこなせるようになるだろう。だから焦るな、いいな?」
「は、はい」
不安そうにしてるリィンの頭を撫でてやる。しばらくは不安そうにしてたが、やがて何かを決心したのかどうなのかはわからないが、頑張りますと俺に告げた。
「ゆっくりでいいからな、リィン。いつまでも待つ。だから焦るな」
そう言い聞かせておかないと、真面目すぎるリィンのことだからな。
俺に育てられたのに真面目だよね、とカンパネルラの野郎が言ってたが、そこは鋼とかの影響が強いんだろうな。少し気に入らないが、俺が面倒見れない時は鋼が面倒を見てくれるのは正直助かっているからな。
だからといって、リィンを使って俺に仕事をさせようとしてくるのは気に入らないんだが。
「ますたー?」
何も言わなくなった俺をまた不安そうにリィンは見つめていた。
そんなリィンの頭を強くかき回してやる。
「なんでもない。リィン、部屋に戻るぞ」
「は、はい」
その赤子を助けたのはただの気まぐれだった。
ただ目の前に目障りな奴らがいたからそいつらを殺した。そいつらが誘拐してきたらしい赤子を助けたつもりはなかったが、その赤子が混じっているとわかると、興味がわずかに出た。
「クク…拾ってやるよ。俺を楽しませてくれよ?」
拾い上げた赤子はただ泣きもせずにこちらをじっと見つめていた。
「ますたー、おかえりなさい」
そう言いながらとことこと走りながら俺に近寄ってくる子供の頭を乱暴にかき回す。
「リィン、土産だ」
大きな犬のぬいぐるみを子供に──リィンに渡す。
リィンという名前は赤子を拾った時に着ていた服に書かれてあったのをそのまま使っている。名前を考えるのめんどくせぇしな。
「いいん、ですか?」
「あぁ、お前に買ってきたやつだからな」
遠慮がちにそれでも嬉しそうにぬいぐるみを受け取るリィンを抱き上げ、ソファーに寝転ぶ。
「ますたー、もうお仕事は終わりですか?」
「あぁ。だから寝るぞ。お前も寝ろ」
頭をなでてやると、すぐにうとうととし始め、しばらくすると完全に眠りに入った。
最初拾った頃は、ほんの僅かな興味だけだったが、数年一緒にいただけだが、リィンだけは手元に置いておいても苦にならないことを思うと、どうやらリィンだけは特別らしい。同じ混じってるのもあるかもしれねぇが。
「早く育て、リィン。そして俺の対となれ」
リィンが寝やすいように抱き直し、起きたら遊んでやるかと考えながら俺も目を閉じる。
俺の予定が何も入ってない時はずっとリィンに剣を教えていた。
物覚えもよく、修得も早い。教えるこちらも楽しく感じる。
「今日はここまでにするぞ、リィン」
そろそろ疲れてきたような表情をし始めたリィンにそう告げると、リィンは俺に対して律儀にお辞儀する。別にそんなことしなくてもいいんだが。
「アリアン様がちゃんとしたほうがいいですよ。って言ってました」
「そうか……俺は特に気にしないんだが」
「ますたーはちゃんとしないんですか……?」
不思議そうに首を傾け聞いてくるリィンに内心かわいいなとか思いながら、めんどくせえといつものようにいうと、何故かリィンがしょんぼりとしたのを見て、これ以上は何も言わずにおこうと決めた。
そんな俺を何を思ったのか、リィンは不安そうにこちらを見ている。
全く、何をそんなに不安がるのか。
俺がここまで構ってやったりするのはリィンだけなんだが。
「ま、ますたー……?」
「何を不安がる、リィン? 俺がこんなに構ってやるのはお前だけだぞ」
「ほんとう、ですか?」
「他の奴らはどうでもいい。だがお前は別だ、リィン」
抱きかかえて言い聞かせる。
「いいか、リィン。その力も使いこなせ」
「この力で、誰かが傷つくのは、見たくないです……こわい、です」
「怖いか? 俺と同じ力だぞ?」
「ますたーと同じ、ちから……?」
「あぁ、そうだ。それでも怖いか?」
「ますたーと、同じちから……こわく、ないです」
そういっているが、まだ不安そうだな。
まだリィンは幼いからな。
「お前はまだ幼い。成長していく過程でその力を使いこなせるようになるだろう。だから焦るな、いいな?」
「は、はい」
不安そうにしてるリィンの頭を撫でてやる。しばらくは不安そうにしてたが、やがて何かを決心したのかどうなのかはわからないが、頑張りますと俺に告げた。
「ゆっくりでいいからな、リィン。いつまでも待つ。だから焦るな」
そう言い聞かせておかないと、真面目すぎるリィンのことだからな。
俺に育てられたのに真面目だよね、とカンパネルラの野郎が言ってたが、そこは鋼とかの影響が強いんだろうな。少し気に入らないが、俺が面倒見れない時は鋼が面倒を見てくれるのは正直助かっているからな。
だからといって、リィンを使って俺に仕事をさせようとしてくるのは気に入らないんだが。
「ますたー?」
何も言わなくなった俺をまた不安そうにリィンは見つめていた。
そんなリィンの頭を強くかき回してやる。
「なんでもない。リィン、部屋に戻るぞ」
「は、はい」
サイト掲載日 [2015年4月15日]
© 2015 唯菜
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