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2

 家につくまでに、俺たちはクーリオについてどうするか相談するため、俺は情報をくれた気に喰わない奴に連絡を入れ、リィンは放蕩皇子に連絡を入れていた。
「そっちはどうだった? 俺の方は俺たちが引き取ったほうがいいんじゃないのかって言われたが」
「殿下もそのほうがいいだろうって」
「なら、俺たちがちゃんと引き取って育ててやらないとな」
「そうだな」
 気に喰わない奴からの情報だったが、クーリオに出会えることができたのだから、感謝はしよう。──情報が奴だということが気に喰わないが!


 我が家につき、クーリオはきょとんとして、首を傾けている。
「ここ、どこ?」
「今日からお前の住む家だ」
「……いえ?」
 首を傾けながら家をきょろきょろしているクーリオに笑みを浮かべながらリィンの方を向く。
「リオのベッドとかも買いに行かなきゃなー」
「そうだな」
「いえってなに?」
「一緒に暮らす場所だよ」
「パパとママと、一緒?」
 未だに首を傾けているクーリオに言い答えながら、リィンにただいまのキスをする。
 いつものようにそれを受けていたリィンだったが、クーリオがこちらをじーっと見てることに気付き、その瞬間殴られた。──何故だ。
「挨拶はいいじゃねえか……ベロも入れんの我慢してんのに……」
 ちらりと見れば、リィンは顔を真っ赤にしていた。恥ずかしいだけか。と思いつつも、肩を落としていると、クーリオが頭を撫でてきた。
 あぁ、かわいい。
「挨拶はありでよくね? なぁ、リィン」
「な、何でだよ……」
 クーリオに頭を撫でられながらリィンに聞くと、顔が真っ赤なまま言われてしまった。
「ただいまのキスの習慣がある男は、ない男に比べて三割寿命が伸びるんだぞ……」
「な、なんだよそれ……」
 統計で出ていることを告げると、何故かジト目で見られたんだが、何故だ。
 俺の頭を撫でていたクーリオが、リィンを見上げて服を引っ張って呼んでいる。
「どうした?」
 リィンがクーリオの目線に合わせるようにかがむと、クーリオがリィンの唇にキスをした。その行動にリィンも、そして俺も驚いた。
「パパの真似」
 にっこりというクーリオの頭を撫でつつ、俺は苦笑する。
 撫でられてるクーリオは本当に嬉しそうに笑う。
「今更やめても遅くね?」
 リィンを引き寄せ、キスをする。
「クロウのせいだろう……」
「俺の寿命のために協力してくれねえの?」
 そういうとリィンはため息を吐いたかと思ったら、俺にキスを返してきた。それに俺は微笑み返す。
「仕方がないから協力してやるよ」
「協力してもらったからには長生きしねぇとな」
「協力してやるんだから、長生きしろよ」
「お前とリオのために、死ねなくなったしな」
 リィンにキスを落とす。どこか吹っ切れたのか、リィンは大人しくそのキスを受け入れてくれた。
 そんな俺達に、クーリオは抱き着いてきた。クーリオにもキスを送る。リィンはクーリオの頭を優しく撫でた。
「飯どうする? なんか作るか」
「そうだな、何か作るか。クーリオもまだ外に出るのは怖いだろうし」
「だな。どっちがやる?」
「俺が作るから、クロウはクーリオ見ててくれ」
「了解」
 俺はクーリオを抱え、別の部屋に移動する。
 不思議そうに首を傾けているクーリオを撫でる。
「少しの間、パパと待ってようなー」
「ママは?」
「ママはリオとパパの飯作ってくれてるからな、少しの間いい子で待てるな?」
 そう告げると、クーリオは笑顔で答える。
「うん、わかった」
「リオはいい子だな」
 クーリオを撫でてやる。
 甘えてくる仕草はリィンに似てるな。
「ママがご飯作り終えるまでなにして遊ぼうかね」
 読み聞かせる絵本もねぇし。
「何して遊ぶ?」
 俺はとりあえず、ポケットからブレードのデッキを取り出す。
 ちょっとした手品を披露してやるか。
「リオは数字読めるのか?」
「数字? いーち、にー、さーん……」
 カードを繰りながら聞くと、クーリオは床に数字を書きながら言っていくその姿を見て、微笑む。
「よーし、じゃあカードを一枚引いて、俺に見えないように大事にもっててくれ。あとで見せてっていったらみせてくれ」
 クーリオはコクリと頷き、カードを一枚引いて、俺に見えないように大事に持っている。
「よし、いい子だ。じゃあパパがそのカード見ないで当ててやる」
「見ないで当てるの?」
「手品だからな」
 首を傾けて不思議そうにこちらを見ているクーリオに笑みを浮かべながらカードをシャッフルさせる。
 クーリオはじーっとこちらを見てる。
 種も仕掛けもあるが、わからないだろうな。
「パパのカードとリオのカードが同じだったらすごいだろ?」
 それに対してクーリオはこくりと頷く。
「じゃあせーので表に返すぞ。──せーの」
 同時にカードを裏返す。
 同じカードでクーリオはびっくりしていた。
「どうして分かったの?」
 不思議そうに首を傾けながら聞いてくるクーリオに、パパだからと答えてやる。
「パパ凄い!」
「すごいだろ」
「うん!」
 にっこりと笑うクーリオに得意気に言ってやり、微笑み返してやる。
「じゃあブレード教えてやる」
「ブレード? うん、教えて!」
「覚えられたらママとも勝負できるぞ」
「ママともできるの? 頑張って覚える!」
「ママをびっくりさせてやろうぜ」
「うん!」
 クーリオを撫でてやると、嬉しそうに楽しそうに笑う。
 俺はクーリオが分かるように、丁寧にルールを説明していく。
 真剣にそれを聞いているクーリオに微笑む。
「わかったか?」
 聞くと、クーリオはこくりと頷く。
「よーし、じゃあいっちょもんでやるぜ」
 カードを配り、勝負をする。
 二回ほど勝負をし、どちらもクーリオの勝利で終わった。
 手加減はしてたが、クーリオにはあまり手加減は必要ないかもしれないな。
 理解力も高く、覚えも早い。手札の運も良さそうだ。
「リオは強いな」
 クーリオを撫でてやると、とても嬉しそうに笑う。
「楽しいか、リオ?」
「うん!」
「お前にはそうやって幸せに笑ってて欲しい」
 俺が微笑むと、クーリオも微笑む。
 本当に、お前が愛おしい。お前に出会えてよかったと思う。
「ご飯できたぞー」
 タイミングよく飯ができたらしい。
 デッキを仕舞い、クーリオを肩車してやる。初めはびっくりしていたクーリオだったが、嬉しそうにしていた。
 何もかもが初めての体験だろうな、クーリオにとっては。
「リオが今一番高いな」
「一番高い~」
「おう! それくらいでかい男になれよ」
「でかくなる~!」
 その様子を見てリィンは笑っていた。
 そんなリィンに笑みを送る。
「よし、未来のでっかい男はパパとママのどっちの膝で飯食いたい?」
「ん~……?」
 肩車から降ろし、クーリオに聞く。
 悩んでるらしく、俺とリィンを交互に見ている。散々悩んだ結果、クーリオは俺とリィンの服をぎゅっと握りしめてきた。その様子に、リィンはどうしようといった顔をしていた。
「二人ともパパの膝に来るか?」
「え? それはちょっと……」
「なんでだよ……」
 断られてガクリと肩を落とした。
 それを見たクーリオがリィンの服を引っ張っていた。
「リオー、ママがパパに冷たい」
「ママ、一緒にパパのお膝にいこう?」
 引っ張りながらそう言うクーリオは首を傾けながら言うと、それに弱いリィンは更にどうしようといった顔をしていた。
「イヤなら無理にとは言わねえけどな……リオにはパパとママが必要なんだよ」
 しばらく考えていたリィンは、クーリオと手をつないで俺に近づいてきた。
 俺は二人を抱きしめ支えながら座る。
 リィンは恥ずかしそうにしていたが、クーリオが幸せそうにしているのを見て、笑みを浮かべている。
「身に余る幸福だな」
 二人を抱き寄せる。
 リィンは俺に身を寄せ、クーリオもリィンの真似で俺に身を寄せてきた。
 そんな二人が可愛い、愛おしい。
「お前らだけは絶対に守る」
「俺も、守るよ」
「ばぁか、俺は守られる側じゃねえよ」
 そう、俺は守られる側じゃない。守られていいはずがない。帝国解放戦線のことや、内戦のことを思えば。
 内戦の引き金を引いたのは俺なのだから──。
 いくらその後に起きた危機に貢献したからといって、俺は守られる側じゃない。
 そう告げると、リィンは悲しそうな顔をする。
「……バカクロウ」
 そう言いながらキスを送ってくるリィンに謝りながら、キスを受ける。
 クーリオがじっと見つめていたからか、リィンはすぐにキスをやめ離れようとしたが、俺はリィンを抱きしめ、こめかみにキスをした。
 そんな俺達を見て、クーリオも俺とリィンにキスをしてきた。
「よし、飯にすんぞ。リオ、ママの飯うまいぞー」
「うん!」
 良い返事をすると、もぐもぐと美味しそうに食べ始めた。
「ゆっくり食べるんだぞ」
 もぐもぐと食べるクーリオに撫でながらリィンは言う。
「そういやお前を拾った時の男爵夫人と今のお前、同じ年じゃね?」
「そういえば、そうだな」
「リオもそれくらいの年だな、多分。……実際は生まれてそんなに経っていないみたいだがな」
 あの研究所にあった資料を見る限り、正確な日時はわからないが、生まれて1年も満たないだろう。
 未だにもぐもぐと食べているクーリオを撫でてやる。
「生活に慣れたらユミルに挨拶にいかないとな」
「俺達が引き取るのなら、言っておかないといけないだろうな」
「男爵と夫人もこんなに早く孫の顔見ることになるとは思わなかったんじゃね?」
「孫って……。いや、俺達の遺伝子を持っているなら、俺達の子供、になるのか……」
「ママ?」
 もぐもぐと食べていたクーリオはリィンの視線に気付き、首を傾けた。
「クク……しっかりお前の子だろ? 首こてんてする仕草そっくりだし」
「そうか?」
「?」
 そう言ってやると、二人して首を傾ける。
 ほら、そっくりじゃないかと、俺は思う。
 未だに首を傾けてお互い見つめ合ってる二人を抱きしめる。そうすると二人は驚いていたが、二人とも抱きしめ返してくれた。
「愛してる」
「……俺も」
「僕も~」
 リィンは顔を真っ赤にして答え、クーリオはにっこりと笑って答えた。
 幸せだなと思う。だが同時に、俺なんかがこんなに幸せなのは不相応だと思っているが──。
 それを隠し、二人を強く抱きしめ、頭を撫でる。
 リィンは相変わらず恥ずかしそうにしているが。
「パパ、ママ。大好き!」
 クーリオはその小さな体で抱きしめてくる。
 そんなクーリオの髪を少し乱暴に撫でてやる。少し慌てた様子が可愛くて仕方がない。
「ママの作ってくれた飯冷めちまうぞ」
 そう言ってやると、止まっていた食事を再開させた。
 もぐもぐと食べるその姿はやはりかわいいと思ってしまう。そしてそれを見ながら食べているリィンもかわいい。
 リィンが俺にも食べろよと言ってくるが、二人を両手に抱えて塞がっているから無理だと告げると、リィンは苦笑する。
「パパ、食べれない?」
「リオが食べさせてくれたら食べれるぞ?」
 首を傾けながら言うクーリオにあーんと口を開けながら言う。それを見てクーリオは俺の口に食べ物近づける。それをぱくりと食べる。
「うん、うまい」
 それを見たクーリオはにこりと笑う。
「サンクス、リオもちゃんと食うんだぞ」
「うん、食べてるよ。ママが作ったご飯、おいしい」
「それは良かった」
 リィンはクーリオを撫でている。
 そんな二人を見ていると、にやけてしまいそうだ。
「明日、買い物行くか、3人で。リオの椅子とベッドと、服とか色々細々したものもいるだろうし」
「そうだな。クーの服とか色々と必要だしな」
「明日お出かけ?」
 不安げにしているクーリオを撫でる。
 ずっとあの研究施設内で過ごしてきただろうからな…──。
「大丈夫だ、パパが守るからな」
「う、うん……」
「大丈夫だよ」
 不安そうにしているクーリオの頭をリィンが撫でる。
「それともリオはママとお留守番してるか? 家具は後でもいいが、服とか小物は早い方がいいだろ」
「パパとママが一緒なら大丈夫!」
 そういい俺達二人の服をぎゅっと握った。
「よし、じゃあ明日のために早く食べて風呂入って寝ないとな」
「うん」
 撫でながら言うと、クーリオは嬉しそうに答えた。
 クーリオを撫でながら、リィンにはキスをする。おとなしくそれを受け入れているが、やっぱり恥ずかしそうだ。クーリオがいるからいつも以上に恥ずかしいんだろうなと思うが、今更止められるわけがない。
 リィンをそのまま抱きしめると空いてる手で抱きしめ返してくれる。
 ずっとこのままでいたいが、明日もやることある。名残惜しいがリィンに早く食べろというと、リィンは食事を再開させた。クーリオもモグモグと食べている。その様子を見ながら、必要書類手続きのことを考える。捏造しないといけないことが多いが、そんなことはどうって言うことはない。
 全ては、リィンとクーリオが幸せに何事も無く暮らせていけるように──。

サイト掲載日 [2015年6月7日]
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移転:2017/06/17
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