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Celdic
せっかく同じ学院に通って、前より会える確率は増えたはずのに、特別実習で遠出するせいで、その間クロウに会えなくて、寂しいと感じてしまう。
それでも、今は実習で出された課題をこなすために、町や街道を駆ける。
出された課題を全て完了させ町に戻った頃には夕方近くになっており、俺達は宿屋に戻ろうとしていたとき、宿屋からビールを飲んでいたはずのサラ教官が出てきた。
どうやら、むこうの班で問題が起きたらしく、今から向かうらしい。
(やっぱり、B班の方は問題起きたか……。ユーシスとマキアスだし、仕方がないのか?)
B班のことを思うとため息しか出ない。
サラ教官を見送った後、今度こそ宿屋に戻ろうとした。
「何の騒ぎだ?」
「大市の方からみたいだけど……」
騒ぎを聞き、すでに町の人達が集まっていた。
この騒ぎは元締めが来たことによって収束したが──。
考えてもしかたがないのは分かってたが、様子を見に再び大市へと行くと、騒ぎを起こした二人の商人は店の準備をしており、大市も先ほどの騒ぎを忘れたかのように賑わっていた。
ホッとし、課題をしていた時はゆっくりと店を回れなかったため、少し店を見て回るかと思い、皆で店を回ることにした。
そして、大市で商人の体験をさせてもらった。
結構貴重な体験だな、と自分の番が終わってアリサ達の様子を見ていて、ふと大市の入り口をみると、見慣れた姿を見つけて、双眸を見張った。
「……え?」
「リィン、どうかしたの?」
「あ、いや……」
その人物を見ると、悪巧みが成功したかのような笑みを浮かべて、去っていった。
「ちょっとごめん。知り合いに似た人がいたから、少し行ってくる。すぐに戻るから」
「あ、そうなんだ。うん、わかったよ」
エリオットにそう告げ、後を追いかける。
その人物が去っていった方へと駆けていけば、街道への続く道でこちらを見ていた。
「はぁはぁ…クロウ、何でここに……?」
近寄ると、抱き締められた。
「んー? お前不足で死にかけてたから、会いに来た」
そう告げられ、顔が赤くなるのを感じる。
顔を隠すように、半端八つ当たりのように、クロウの胸に頭を押し付ける。クロウはそれに苦笑しながら、俺の頭を撫でる。
「まぁ、サラがいたら気付かれる可能性はあったが、ちょうど良いタイミングでむこうの方に行ってくれたからな。しっかし、例のあの二人を一緒の班にするとは、な。問題起きるのは明らかだろう、あれは」
「あの班分け見たときに、心配したけど、やっぱり……って感じだ」
「まぁ、お前は向こうのことは気にせずに、自分がやるべきことをしていればいいさ。あぁ、だが、厄介なことには首突っ込むなよ?」
反応に困っていると、クロウに頭を軽く叩かれてしまった。
やれやれという表情で見ないでくれって思う。
「またお前は……」
「う……だって、放っておけない、し……」
そう言うとまた叩かれてしまった。
そう何回も叩かなくても、と思ってしまう。
「まぁ、やりたいようにやればいい。お前のことだし、止めても無駄だということは分かっている」
クロウは自分が叩いた箇所を撫で、キスを落としてくれた。
「ほら、もう戻れ」
「うん……。知り合いに似た人がいたからって言ってきたけど、そろそろ戻ったほうがいいよな。また、ね」
クロウの首に腕を回してお互いの唇を重ねる。
名残惜しいと思いつつも、皆の元へと戻る。
「やっぱり首を突っ込む、か──。そりゃそうだろうな……。悪いな、リィン」
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