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閉ざされた世界は、中身を保護する繭のように平穏だ。温かくて、煩わしい人間関係もない。英雄と称える声も、敵だと罵る声もない。
いつまでも続くことはないとわかっているのに、足掻くようにこの世界に居続ける。穏やかな世界。


リィンが居続けることにマクバーンは何も言わなかった。むしろ自分が拾ってきたものだから、所有権はマクバーンにあると思われているふしがある。
料理をするのも、鍛錬も、自由に出来た。時々彼が戦いたいっと言ってボロボロにされることもあったが、それだけだった。ただ寝室に関しては、ベッドは一つしかないので一緒に使うことだけ強要された。
それがリィンにとって、困った現象を起こす問題でもある。

大人二人が寝ても余裕がある大きなベッド。端の方に滑り込むように寝ているリィンだが、気付くとマクバーンとの距離が近くなっている。寝相の問題でそんなこともあると思っていた。最初はただそれだけだったのだが、最近は更に困ったことが起きていた。

起きる時間になると自然とリィンは目を覚ます。寝る時には感じなかった背後の重みにマクバーンに抱きしめられているのか気付く。相手の気配がないことと、安心しきっている所為かリィンは抱き締められる時には起きることはない。武人として致命的だという自覚はあるがマクバーン相手に本気でやり合っても意味がないとわかっているので、諦めている。
これが今、リィンが困っていることだった。マクバーンがリィンを抱き枕と勘違いしている所だ。
 
抱きしめられているといっても強い拘束力はないのでゆっくりと身体の向きを変えて、マクバーンの方へと向く。鍛えられた筋肉が真っ先にリィンの目に飛び込んでくる。

「はぁ、何度いってもこれだもんな」

マクバーンは寝る時に限って服を脱ぐ。正確には服を着ずに寝るのが彼の習慣らしい。目が覚めてマクバーンの素肌があるのは心臓に悪い。素肌で抱きしめられること数十回。服を着て寝てくれと彼に伝えた。そのおかげで下着だけは付けることを承諾した。それ以外は何度言っても改善する兆しは見えない。

鍛えられた肉体を見て、リィンの頬は薄っすらと赤く染まった。同性の身体を見て、何故か鼓動が早くなる。どうにかこの腕の中から出たいのだが、マクバーンが起きるまで開放されたことはない。
何度か抜け出そうとしたが、捕らえられている腕が鎖のように頑丈だ。
ため息を吐き出しリィンは彼が起きるまで待つことにした。早く起きて鍛錬したいが、また遅くなる。森の中は日が昇るには時間が掛かる。普段リィンが目覚める頃は暗く、朝とは表現しづらい。カーテンから覗く的の外は夜の色が残ったままだ。

しばらくマクバーンの体温で微睡のような感覚を味わっていると、更に彼はリィンの身体を引き寄せてくる。

「うっ、待ってくれ?!」

布の越しで身体が密着した。彼特有の匂いを感じる。自然と顔も身体の体温が上昇してきた。本当に抱き枕と勘違いされているに違いない。背中の手が何かを確認するように動き回り、尻の上で固定される。そこが手のおさまりが良かったのだろう。だがリィンにとっては尻を撫でまわされた気がして恥ずかしかった。

完全に寝ている筈なのに起きているのではと、疑いたくなってくる。聞こえてくる寝息は乱れがないので、寝ている筈だ。無意識なのかと思うと頭を抱えそうになってしまった。そう言えば齧られたこともあった。あれも悪戯なのか、本気なのか、リィンには分からなかった。
同性相手にどきどきと心臓が早くなる。他人の目から見たら今の自分は真っ赤になっている筈だ。

最近は毎朝こんな目に合う。もう少しずれば慣れるだろうか。最近マクバーンが触れてくる回数が増えたのは気のせいか。だが触れられて嫌だと思ったことはなかった。不思議と心臓は煩いぐらい騒ぐが、マクバーンとの傍にいるのは居心地がよかった。

彼の体温が伝わってくる。鼓動の音が眠気を促す。彼が起きるまで動けはしないのだ。リィンは諦めて眠気の誘惑に落ちた。
サイト掲載日 [2018年1月10日]
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しるくさんからのいただきものマクリン第三弾です♪(*´∇`*)
年賀状としていただきました♪(*´ω`*)
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