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 何とかマクバーンを説得して、分校へと戻ってきた。
 何故かマクバーンと共に──。
 俺が今どんな扱いなのかわからなかったが、どうも休業扱いになっていたようだ。
「よくあの彼を説得できたものだ」
「えっと……」
「なんだ? 説得できずに戻ってきたのか?」
「それが、その……一応、説得して納得してもらったんですけど……」
 どうしよう。
 一応説得して納得してもらった理由が──。
「……なるほど、そういうことか。ついてきたというわけか」
「クク、さすが羅刹、ということか?」
 睨み合うマクバーンと分校長。
 睨み合いながら、俺の腰に手を回すマクバーンだが。こんな場面で俺の腰に手を回すのは止めてほしいんだが。
「ほっとくとこいつはまた無茶するからな。俺もここにいさせてもらおうか。邪魔しなければ、何もしねぇし、こいつの授業ならおとなしく聞いてやるよ」
「よかろう。許可する」
「ぶ、分校長!?」
「シュバルツァーが無茶しないように見張るといい」
 あっさりと許可した分校長に唖然となるが、この人なら許可してしまうのは仕方がないのかもと思ってしまう。
 と言うか分校長、かなり前から俺とマクバーンの関係に気づいてたんだろうな。
 このあと、トワ先輩やランディさんと話すことができた。が、やっぱり俺についてるマクバーンが気になるらしい。マクバーンは面白がってるように見えるが。
「リィンくんが誰かと付き合ってるっていうのはわかってたんだけど、まさか結社の人だったのには、驚いたかな」
「えっと……トワ先輩は俺が誰かと付き合ってるって……」
「誰かは知らなかったけど、いるのかな? とは思ってたよ。相手を隠しておきたい相手なのかな、とは思ってたけど……」
 トワ先輩は俺に付き合ってる人がいることには気づいてたか。
「と言うかお前さん、普通に戦ってなかったか? 付き合ってるんだろう?」
「戦いの場で出会えば敵同士ですから」
「ま、俺としてはこいつと戦うのも楽しんでいたからな。流石にクロスベルでの最初の戦いは面白くなかったがな……」
「そ、それは……」
「クク、星見の塔で戦った時に本気で来なかったときは覚悟してもらおうかとか思ってたがな」
「……やっぱり、そう思ってたんだな……」
 あの時感じた悪寒はやっぱりそうだったのと。
 本気を出せて良かったか。
「ちなみに聞くが、もしリィンが本気出さなかったらどうしてたんだ?」
 ランディさん、よくそれを聞こうと思ったな。
「その場でこいつ攫ってたな。その後は……クク」
「何を考えてた!? なぁ、何考えてたんだ!?」
「聞きたいのか?」
 そう言われて、聞くのは止めておいた。
 とんでもないこと考えてそうだしな。
 そんな俺達のやり取りを見てたランディさんとトワ先輩がやれやれみたいな感じだった。
「お前らは俺とこいつの関係に関して何も思わないのか? 生徒どもはユミルの時に信じられないような視線を向けていたが」
「私はリィンくんが選んだ人だから、何も言わないかな」
「俺もそんな感じだな。お前さんが選んだんなら、俺達が何か言うことじゃないだろう」
 へぇー、とマクバーンは何か感心していた。
 ただ、後ろから抱きしめてるのはどうにかならないのかって思う。思ったところで、言っても無駄なんだろうな。
 そんな時、この場にいなかったミハイル少佐が入ってきたが、俺がマクバーンに抱きしめられてるのを見て、変な格好で立ち止まっている。
「あんたも慣れろよ」
 とか、変な格好で止まっているミハイル少佐の肩を叩きながらランディさんがなんか言ってた。
 マクバーンは終始面白そうにしていたが。


 Ⅶ組の教室に入ると、生徒たちがびっくりしていた。
「教官!?」
「戻って……?」
「心配かけたな。まぁ、戻っては着たんだが……」
 駆け寄ってきた生徒たちから奪うように横から手が伸びてきた。
 犯人は分かっている。
「こら、マクバーン……止めろって……」
 頼むから腰に手を回したりしないでほしい。
 後、殺気を向けるな、殺気を。
「なんでこの人が……」
「あー……色々あってな……。俺を帰せっていっても聞いてくれないし、ダメだばかりで……何とかこの前説得したが、条件を言われてな……着いてきた」
「いいんですか、それで……」
「執行者はありとあらゆる自由を許されてるそうだからな……いいんだろう。あっちの人ら止めなかったし」
「むしろあの道化師の方は楽しんでそうですね」
「実際、あいつは面白がってるだろうな、クク」
 マクバーンに抱き込まれている状態の俺は離せという意味を込めてマクバーンの手を叩くが、やっぱりというか聞いてくれない。
「でも、あの……その人も教室にいるんですか……?」
「分校長が許可したからな。後マクバーンに何言っても無駄だと分かっているから、気にするなというのは無理かもしれないが……慣れてくれ!!」
 生徒たちは困ったような顔をしていたが、俺もそこは無理だとわかっているから、すまないと心の中で謝るしかなかった。
 マクバーンはいまだに俺を抱き込んでいるが、離す様子がないことからそのまま朝のホームルームを開始するしかなかった。


 分校での久しぶりの授業は色々とあったが、何とか一日が終わりを告げた。
 最初は俺に視線を寄越してきた生徒たちだったが、授業中でも変わらずに教室内にいて俺の授業を静かに聞いてるマクバーンのほうが気になるらしく、チラチラと視線を向けていたが、分校長の許可もあり、俺も気にしないように授業すると何か諦めたらしく、今までのとおりに授業も進み、その間おとなしくマクバーンも授業を聞いていた。
 放課後になっても、マクバーンは俺が行くところにはついてくる。
 何かに憑かれている気分になってくる。
「そろそろ帰らないのか?」
「ん? もう用事は済んだし、そろそろ宿舎に戻る」
「分かった。宿舎は向こうだったな」
「あ、ああ。そうだが」
 そう言うと、マクバーンは俺を抱き上げ、地面を蹴り上げる。
 執行者が驚異的な身体能力を持っているのはわかっていたが、特にマクバーンは別格かもしれないが、流石にこれには驚く。とりあえず、街の中心に降りるのだけは勘弁してもらいたいんだが。
 街の中心に降りることはなかったが、宿舎の前に降りて、生徒たちがかなり驚くことになったが、許してくれ。
 俺もびっくりしたが──。と言うか、転移術があったならそっちで部屋に直接戻ったほうが良かったんじゃ、と思ったが、押し倒されたいのかとか言われてしまった。
 なぜそうなるんだろうか。
「一日中お前がこんなにも近くにいるのに、手が出せないのはな。そろそろ我慢の限界になりそうだ」
「……え? いや、あのな……流石に、それは……」
「クク、まぁ冗談だ。でも……お前が無茶したら、思う存分に楽しんでやる」
 それを聞いてあまり無茶しないようにしようと心に決めた。
 マクバーン相手にすると体力がもたないし、絶対ベッドでしばらく過ごすことになるだろうしな。
(気をつけよう)
 そう心に決めたはずだったんだが、今までの習慣が変わることもなく、あれこれ引き受けてたら、マクバーンに怒られてしまったのは、その数日後だった。
サイト掲載日 [2017年12月30日]
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開設:2014/02/13
移転:2017/06/17
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