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 食事の時間となり、第Ⅱ分校の教員や職員、生徒たちが集まり始めた。そして、当然のように結社の面々もそこにいたので、やはり恐ろしいのか、なかなか座ろうとしなかった。
 仕方がないので、分校長を始めとした教員や職員、旧Ⅶ組のメンバーが結社が座っている近くに座ることになり、生徒たちも安心したのか、次々と座っていく。そんな中、俺はというと──。
「なぜ俺はここに座っているんだろうか……」
 マクバーンの隣に座っていた。
 旧Ⅶ組と同じ席に座ろうとしていたら、マクバーンに声をかけられ、分校長が生徒たちのためにも行くがいいと言い放ったため、引きずられるように座らされてしまう。
 俺、ここに着て何回マクバーンに引きずられたかな。
「なんかユミルに来てほとんどのマクバーンと一緒にいるような気がするんだが」
「何だ、不服か?」
「それは……」
 そんなことはない。不服どころか、嬉しいと思っている。
 そんなこと言えないけど。
 曖昧な笑みを返すしかなかった。

 食事が開始され、出された料理を美味しそうに食べている分校の生徒たちを見ていると、嬉しくなる。
 結社の人たちも美味しそうに食べてるところを見ると、嬉しくなる。
 そんな中、俺も出された料理を食べ進める。
「お前確かもう成人したよな?」
「成人はしたが……」
「じゃあ、お前も飲め」
 マクバーンが酒を差し出してくる。
(これは、飲まないとやばいのか? 飲みなれてないんだが……)
「えっと……」
「お前も飲め。他に飲めそうなやつがいねぇんだよ。付き合え」
 これ、断ったらやばいかもしれないが、飲んでもヤバそうな感じがするのはなぜだろうか。
「……口移しで飲ませてやろうか」
「それは勘弁してくれ……。分かった、もらうよ。でも飲みなれてないから少しで……」
 流石に口移しで飲まされるわけにはいかない。仕方がないとグラスに注いでもらう。
 少しと言ったのに、かなり多く注がれてしまう。
 視線で全部飲めよと言われてる気がする。
「……マクバーン、これ、度数高いだろう……」
「だったら何だ?」
 マクバーンに何を言っても無駄なのはわかるんだが、なぜ度数が高いのを選ぶのか。
 仕方がないと少しずつだが食べながら飲み進めていった。

 リィンはあまり酒には慣れていないだろうとは思っていたが、ここまで飲みなれていないとはな。
 少しずつ飲んではいるが、明らかに飲みなれていないということはわかる。
 少し様子を見てみるか。リィンを飲み潰すのが目的ではないからな。
 はぁ、とため息をするリィンにすでに色気がにじみ出ている。少し度数が強すぎたか。
「今度はこっち飲んでみるか? 度数はさっきのより低いぞ」
「少しだけ……」
 断らなかったな。断っても注いでたが。
 俺に何を言っても無駄だとわかってるんだろうな。
「あ、こっちはまだ飲みやすい」
「クク、そうだろう?」
 そうやってリィンに飲ませていく。
 食事は終わっても、リィンを解放することもなく、酒を勧める。
「マクバーン、もう無理なんだが……」
「なんだ? もう降参か?」
「結構飲んだと思うんだが……」
「俺はまだ飲み足りねぇんだから、その間も付き合えよ」
 顔を多少赤く染めたリィンの吐く息はあつそうだ。
「リィン」
「……え?」
 周りの奴らがいるにも関わらず、名前を呼ばれて驚いているリィンを引き寄せ、口移しで酒を飲ませる。
 俺達の関係を知らない分校の奴らは驚いている。
 まぁ、一番驚いているのは口移しで酒を飲まされているリィンだろうがな。
「ん…ふぅ、んん……」
 口の隙間から飲み込めなかった唾液や酒がこぼれ落ちる。
 唇を離し、こぼれ落ちたものを舐め、口をパクパクしているリィンに再度引き寄せ酒を飲ませる。
「っ……」
 何やらマスター大好きっ子が思考停止しているような気がするが、そんなもの知らねぇし、向こうでは新Ⅶ組の奴らが動こうとしている。
 リィンに酒を飲ませ、口を離すと新Ⅶ組の奴らに殺気を向ける。
 負けずとこちらを睨みつけているが、動けないのだろう。変な格好で止まっているのがいい証拠だ。
 そんなことを思っていると、手に持ってたグラスをリィンが奪う。
「あ?」
 それをある程度飲むと、今度はリィンから口移しで俺に酒を飲ませてきた。
 まさかそう来るとは。
「酔ったか?」
「酔ってない……」
 酔ってないと言うが、どうみても普段のリィンではないのは明らかだ。
 普段は二人きりのときでさえあまりしない仕草までしてくるしな。
 これを見て、元から俺達の関係を薄々感づいてたであろう奴らは仕方がないというような感じだったが、知らない奴らは信じられないものを見たというような表情をしている。
「マクバーン、それ以上やるつもりなら部屋でやりなよ」
「そのつもりだ」
 リィンを抱き寄せ、その場から移動する。
 部屋に戻ると、リィンが首に腕を回してくる。そんなリィンの唇を奪う。
「ん……」
 舌を絡めると、それに答えようするリィンが愛おしい。
 そのままベッドに倒れ込む。
「バカマクバーン……俺だって…俺だって……」
 ぎゅっと抱きしめてくるリィンの頭を撫でる。
 バカとは何だ、とは思ったが、普段は押さえつけている思いが出てきたか。
「ずっと、側にいたい、側にいてほしい……。そう思ってるんだ……。だけどそれはできない……俺とマクバーンの目的は違う……そう思ってないと……」
「このまま攫っていってやろうか? そうすれば一緒にいれるぞ」
 そういったところで、リィンは首を横に振る。
 涙を流しながらずっと側にいたいと訴えているくせに。
「リィン、今は何も考えるな」
 リィンに何度もキスをする。触れるだけのキスを。
 その瞳から流れている涙を拭いながら、リィンの服を脱がしていく。
 ぎゅっと抱きしめてくるリィンに答えながら──。

「ぁ、ん……ふぁ……」
 マクバーンに撫でられているところがいつも以上に熱く、敏感に反応示してしまう。
 酒のせいだと思いながら、マクバーンが与えてくれるものに答える。
 前に強い刺激を感じる。
「ふぅ……んん」
「クク、今日は反応が早いな?」
「いじ、わる……」
 意地悪しないでほしい。
 マクバーンが与えてくれる刺激は確かに俺に強い快楽を与えてくるが、違うと訴えている。
 もっと強い刺激がほしいと──。
「マクバーン、もっと、欲しい」
「あぁ、俺ももっとお前が欲しい」
 抱き寄せられ、マクバーンの手が後ろに伸びる。
 マクバーンの指が入ってくるのを感じる。だけどそれじゃないと訴えている。もっと違うものがほしいと──。
「マクバーン、もう、いいから……」
「とかさないと辛いのはお前だろうが」
「いいから、早く……入れてほしい」
「リィン……それを他のやつに言うんじゃねぇぞ」
「マクバーンにしか言わない」
 いつの間にか増えてた指を引き抜かれ、変わりに熱いものがあてがわれる。
 ゆっくりと入ってくるそれに、ビクリと震える。
「痛いか?」
「大丈、夫……」
 少し痛みはあるが、大丈夫だと告げ、ぎゅっと抱きつく。
 マクバーンも答えるかのように強く抱きしめてくれるのが嬉しい。

 痛みはあるだろうが、酒が入っているのもあって、いつも以上に色気を曝け出しているリィンに我慢できるはずもなく、そのまま一気に奥へと挿れる。
 そしてそのまま挿れるとリィンは乱れる。
 いつも最初は声を抑えようとするリィンだが、今日は違う。いつもより快楽に従順で、声を抑えようとしない。
 気分がいい。腰をゆっくり動かすと、足りないと強請り、早く動かすともっとと誘ってくる。
「今日は素直だな、リィン」
「あぁ! もっと、ちょーだい……」
「もっと、な」
「あっ……んん……。はや、い……はぁ……ふぅ……んん……」
 そのままリィンに強い刺激を与えやると、リィンはそのままはてたのだろう。目がとろりとしているが、俺はまだいっていない。ここで止めずに、更に強い刺激を与える。
「リィン、自分だけ満足するな。俺はまだいってすらいないぞ」
「あぁ、待って……!」
「ダメだ。お前はただ、俺の下で啼いていればいい」
 静止しようとするリィンの手を押さえつけ、更なる刺激を与えるように腰を動かす。
 翻弄されるしかないリィンは喘ぐしかないようだった。
 そうだ、それでいい。今は俺の下で啼いていろ。
 そう思いながら、自分の欲をリィンの中に放つ。その後も、散々リィンを啼かせた。


 起きると、隣にマクバーンが寝ていて、驚いて起き上がった。
 起き上がったが、腰に鋭い痛みを感じて、再度ベッドに戻ってしまった。
「あれだけ散々やったのだから、急に起き上がると腰が痛いぞ?」
「うぅ……それは今実感した……」
「クク、お前は酔ったら色気がいつも以上にすごいな?」
「……あまり覚えてないんだが、なんか気持ちが爆発したような記憶が……」
 いつかは爆発するかもと思っていたが。
 マクバーンは頭を抱えている俺を抱き寄せる。
「お前は色々と溜め込みすぎだ」
「分かってる……わかって……」
「まだ寝てろ。少し早い」
 そう言いながらまた寝ようとするマクバーンに抱き込まれ、俺も目を閉じるしかなかった。

 それから、次に起きたのは昼に近い時間だった。
 腰の痛みはだいぶ引いたとは言え、いつものように動けないな、と思いながら、抱き込むように寝ているマクバーンから抜け出そうとすると、更に抱き込まれてしまう。
「マクバーン……そろそろ起きたいんだが……」
「……あ?」
 不機嫌だな。と思いながらも、もうこれ以上は寝るわけにはいかないと、抱き込むマクバーンから逃れるために動く。
 数分格闘して、ようやく出られたが、それだけで疲れてしまう。
「朝の温泉にでもつかってくるかな……」
 服を拾い上げ、それを着て温泉へと足を進める。
 途中分校の生徒たちの視線が痛かったが、言いたいことはわかるが、今はただ温泉へと足を向ける。
 少しだけ浸かり、マクバーンが起きてくる前に、外へと出る。
(やっぱり、分校の生徒の視線は痛いな……分かっていたことなのに)
 頭を振り、少し鍛錬でもするかと思い、郷を出る。
 内戦の時にあいつと戦った場所、その場所で鍛錬しようと、太刀を取り出し、構える。が雑念がありすぎて、集中できずにいた。
「太刀筋にキレがないな、リィン? 何を悩んでいるんだ、お前は」
「っ……マクバーン……」
 寝ていたはずのマクバーンがそこに立っていた。
「そんなに悩むことか?」
「俺は……」
「お前は一人で抱え込みすぎだ。何なら、俺に全部思ってることでもぶちまけてみるか?」
 ぶちまけてみるかと言われても、どうすればいいのだろうか。
 不意にマクバーンに頬を撫でられ、涙を拭われたことで、自分が泣いてることに気づいた。
「泣くのもわからなくなるほど自分を追い込むな。お前が辛いと言うなら、このままお前を攫ってやる。お前が嫌だと言っても俺は実行する。そこにいる奴らが阻止しようとしても無駄だ」
 そう言われて、そこに新旧Ⅶ組がいることに気づいた。
 普段ならこんなに近くにいるのなら気配でわかることさえわからなくなるほど自分がわからなくなっていたということなのだろうか。
「リィン……」
「教官……」
 マクバーンにすがりつくように抱きつく。
 そんな俺をマクバーンは強く抱きしめてくれる。
「ぶちまけてみろ、俺に」
「……辛い……みんなに、辛くないのかって聞かれて……辛いに、決まってる……。割り切ってた、つもりだったけど、やっぱり……辛いんだ。敵同士なのだから、連絡もできないのだから仕方がないと思っていても……ずっと会えないのは、辛い……辛かった……。クロスベルで会えたことが、嬉しかったんだ……懐かしいって……内戦の時に何度も感じた共鳴みたいなあの感覚が、懐かしくて……ようやく、会えるんだって……」
 今まで抑えてたのが、爆発したみたいに訴える。
 マクバーンはただ聞いて黙っていてくれるだけ。本当にぶちまけていいのだろうかと、不安になるが、止まらない。
「会えなかった間、ずっとマクバーンにもらったこれが、俺の心の支えでもあったんだ……」
 そう言いながら胸にかけてあるペンダントを握りしめる。
「本当はずっと一緒にいたい、側にいてほしい。でもそれはできない……。俺とマクバーンは目的が違うのだから……俺の進みたい道は、そっちじゃないから……一緒には、いられない……そう、思わないと……」
「リィン、もういい。全部ぶちまけろと言ったのは俺だが、お前は一人で抱え込みすぎだ」
 そう言いながらマクバーンは俺の瞳から流れ落ちる涙を拭い、先程よりも強く抱きしめる。
 俺もマクバーンを強く抱きしめる。
 マクバーンの鼓動を感じて、安心してしまう。
「お前を攫っていってやる。止めようとしても無駄だ。──少しは休ませてやれ」
 そう新旧Ⅶ組に告げるとマクバーンは転移術を展開した。

 俺は安心したのか、そのまま気を失ってしまった。
 次に目を覚ましたとき、最初に見たのは心配そうにこちらを見ているマクバーンの顔だった。
「マク、バーン……?」
「目を覚ましたか?」
「ここは……?」
 見たことがない景色が見えて戸惑う。
「結社が用意した俺の隠れ家の一つだ」
 結社と言われて、起き上がろうと思ったが、身体がなんだか重くて、そのままベッドに逆戻りしてしまう。
「急に起き上がるな。お前分かっているのか? 熱があるぞ」
「熱……? あぁ、だから身体が重いのか……」
 気づかなかったな。
 マクバーンが額に手を当てる。手が少し冷たくて、気持ちが良いと感じる。
 いつもはここまで冷たくないのに、なぜ今は冷たいのかと不思議に思った。
「なんだ?」
「いつもより、手が冷たいなって……」
「そりゃ、タオルを定期的に変えてりゃ、手も冷えるだろう」
 マクバーンにここまでしてもらうのが申し訳なくて、謝ってしまう。
「ごめんな、マクバーン……」
「なんで謝る、お前は」
「だって……」
「お前にしかしないぞ、こんなこと。他の奴らだとめんどくせぇだけだが、お前なら別だ」
 マクバーンは俺の額に手を当てながらいう。
「まだ熱がある。寝ていろ」
「ん……。マクバーン……」
「なんだ?」
「手を、握っててもらって、いいか?」
 そう言うとマクバーンは俺の手を握りしめてくれる。
「そのぐらいならいつでもしてやる。お前の側にもいてやる。だから、今はゆっくり何も考えずに寝ろ」
 頭を撫でられ、それも気持ちよくて、安心できて、俺は再び眠りに入った。

 リィンが再び眠りに入ったのを見届ける。
 熱があるのに最初は自分ではわからないほどに疲れていたか。数日間寝込んでいたとは言え、まだまだ休息が必要だということなのだろう。
(ここに連れて帰ってすぐに気を失ったしな。一人で抱え込み過ぎだろうが)
 やはりあいつらは始末しておくべきかとか思ってしまうのは、リィンの今の状態からだ。
 原因は、俺にもありそうだがな。
 内戦が終わって、会いに行こうと思えばできたが、こいつはこいつで政府からの要請であちこち行っていたことは知っていたし、それでも、まだあいつらがいた頃は良かったんだろうがな。
 少しうなされ気味のリィンの頭を撫でてやると安心したのか、またすやすやと寝息が聞こえてくる。
「寝ていても、ちゃんと休めてなさそうだな、お前は」
 だからこそ心配してしまう。
 悪夢でも見ている可能性は十分にある。助けられなくてごめんとか言ってたときもある。
(助けられる命など、限られてる。むしろお前に救われた命のほうが多いだろう)
 それでもこいつは、助けられなかった命の方を考えてしまうんだろうな。
 今はゆっくり休めという意味も込め、握っていた手を強く握りしめる。

 しばらくして、扉をノックする音が聞こえてきた。
「入りますわよ」
 入ってきたのはマスター大好きっ子のデュバリィだった。まぁ、気配でわかっちゃいたがな。
「何の用だ?」
「灰の起動者の様子はどうなんですの?」
「見ての通りだ」
 俺と手を繋ぎあって寝ているリィンに驚いていたが、そろそろ慣れろや。
 俺とこいつの関係知っただろう。
「で、なんだよ」
「様子を見に来ただけですわ。彼の熱、長引いているようですわね」
「色々と疲れていたんだろう。自分のことは疎かにしやすいからな、こいつは」
「……っ……」
 またリィンのうなされているのに気づき、頭を撫でてやる。
 大丈夫だと、今は何も考えるなと。
「深淵がいたなら、夢など見せずに眠らせておけただろうにな……寝ていても、なかなかゆっくりと休めないんだろう」
 デュバリィのやつが何か言いかけていたが、タオルと水をかえてくるといい、部屋から出ていく。
 それには正直助かった。
 手を離すと、リィンはもっとうなされるだろう。それもあってなかなか席を立つことができなかったからな。目を離すこともできねぇ。
「リィン……俺がこんなにも気にかけるのはお前だからだぞ。だから早く治せ」
 そして早く目を覚ませ。
 世界を滅ぼそうとしたら、お前は俺を止めるために目を覚ますだろうかと考える。が、目を覚ましたところでまともに動けないんじゃ、意味ねぇな。


 目を覚ますと、マクバーンの顔がすぐ横にあって驚いた。
 強く抱きしめられていて、抜け出せない。
 ユミルでもこんなことあったな。とふと思い出し、そう言えば今あれからどのぐらい経ったのだろうと。
 部屋が暗いから夜かもしれない。
「ようやく起きたな、リィン。まだ少し熱っぽい感じだが、良くなったほうか」
 額を触られ、そう言えば熱があったんだなと思い出す。
 でもなぜマクバーンが横で、しかも俺を抱きしめて寝てるんだ。
「マクバーン。俺に熱があるなら、一緒に寝ないほうが……」
「お前が手を離さないのに、どうやって別の場所で寝るんだ? ここで寝たほうがいいだろうが。お前の熱が俺にうつると思ってるのか?」
「もしもの時があるだろう……って、手?」
 そう言われて手を見ると、マクバーンの手を握りしめている俺の手が見えた。
 不意に恥ずかしくなった。
「何恥ずかしがってんだよ」
「うぅ……だって……」
「お前が握っててくれって言ったんだろうが」
 確かに、その記憶はあるんだが、恥ずかしいものは恥ずかしいんだ。
「まぁ、手を握っていてもお前うなされてたけどな」
「……うなされてた?」
「何か夢見が悪かったんだろう。頭を撫でてやったら安心したようにすやすや寝てたが」
 うなされていたと言われても自分では夢を見ていた記憶がない。
 でも、マクバーンを心配させたんだろうな。
「心配したが、前よりは顔色も良いな。ひとまず、何か飲んだほうが良いだろうな。一応お前が寝てる間も俺が口移しで飲ませてたがな」
 どうりで結構寝ていたような感じなのに、喉がそれほど乾いてないなって思ってたら。
 水が入ったグラスを渡される。それをしばらく眺めてたら、口移しでまた飲ませてやろうかとか言われて、慌てて渡された水を飲み干す。
「何だ、口移しで飲ませてほしいのかと思ったのにな、クク」
「楽しんでるだろう、マクバーン……」
「それは、お前がようやく目を覚ましたんだ。楽しむに決まっているだろう。心配したぞ、リィン。あまり無茶するな」
「ん……ごめんな。それと、ありがとう……」
 心配してくれたことが嬉しいと思ってしまう。
 それと、ずっとそばに居てくれて嬉しかった。


「ところで、帰してくれるんだよな?」
 ふと疑問に思ったことを聞いてみると、マクバーンは不機嫌になる。
「あ? 帰すわけ無いだろうが」
「いや、それは困るんだが……」
「帰したらお前はまた無茶するだろうが。それがわかってて帰すか」
「無茶してるつもりは……」
 ないといいかけると、にやりとよくない笑顔をする。
 いや、ちょっと怖いんだが。
「わかった。そんなこと言わなくなるようにお前を抱き潰す」
「は!? いや、ちょっと待て……」
「またねぇ!」
 そう言いながら服を剥ぎ取ろうとするマクバーンに抵抗する。が、いつも以上に体力もない俺がいつも以上にマクバーンに抵抗できるはずもなく、抱き潰されて、別の意味で寝込んでしまったのは、ここだけの話にして欲しい。
サイト掲載日 [2017年12月21日]
© 2017 唯菜
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開設:2014/02/13
移転:2017/06/17
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