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リィンは、目の前の人物をどうしようかと考えていた。
そもそも何故ここに居るのか、そしてその格好は何なのかと──目の前にいる人物、クロウに問いただしたい気分だった。
「おーい、リィン?」
固まって動かなくなってしまったリィンの目の前で、クロウは手をひらひらと振る。
「……何その格好」
「ん? サンタさん、だな」
「……何でここに……?」
「一緒に聖誕祭を過ごすため」
リィンは前と変わらない態度で話すクロウに、動揺する。どうしたらいいのかわからなくなってしまう。
「…………なんで?」
リィンの脳裏にあの時言われたことが掠める。全部嘘だと言われたことが──。それを思い出し、リィンに暗い影が落ちる。
「意味が分からない……。全部嘘だって言ったくせに、何で一緒に聖誕祭を過ごすとか言ってるんだよ!?」
クロウは困ったような顔でリィンを見ている。
困っているのはこっちだと、言ってやりたかった。
俯いているリィンの頭をクロウは優しく撫でる。その手はかつてと同じで、リィンは泣きたくなる。撫でられていた手で強く抱き寄せられ、クロウの鼓動を聞いて、何故かそれに安心して、リィンは我慢していた涙を流した。
「泣くなよ」
「泣いて…なんか……」
涙目で言っても説得力はないのは分かっている。
クロウは苦笑しながら、未だに涙目のリィンの顎を捉え、その唇を己の唇で塞いだ。驚いて目を見開き固まっているリィンをよそに、クロウは咥内を好き勝手に貪る。
「…っ、ん……」
上手く息ができずに、リィンはクロウを押しのけようとするが、びくともしない。
それからしばらくして満足したのか、クロウは最後にリィンの唇を軽く噛み、唇を離した。そしてリィンが流していた涙をそっと拭い取る。
リィンの息はかなり上がっており、顔も少し紅く染まっていた。
「馬鹿クロウ……!」
半端八つ当たりでクロウの肩に頭を押し付ける。
そんなリィンにクロウは満足そうにしていた。
pixiv [2014年1月26日]
© 2014 唯菜
© 2014 唯菜
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