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「よぅ、リィン! あけましておめでとうさん」
部屋をノックする音が聞こえ開けてみたら、何故か目の前にはここにはいないはずの人物、クロウがいた。しかもにこやかに笑いながら言われ、リィンは固まってしまう。
クロウがリィンの頬に手を這わせると、止まっていたリィンが素早くクロウから距離を取る。
「おーい、リィン? また逃げるのか? さすがに傷付くぞ」
距離を取ったリィンに、クロウは詰め寄る。
「な、ななな……」
「ん?」
リィンは慌てるが、クロウはそんなリィンに苦笑しながらも、詰め寄っていく。
「何でここにいるんだよ!?」
「新年の挨拶をしにな?」
「……まさかと思うけど、今回も強行突破してきたとか、言わない、よな……?」
聖誕祭の時には、リィンと一緒にいさせろといって拒否されたからといって強行突破してきたクロウのことだ。また今度も強行突破してきたのじゃないかと思って聞いてみると、今回は違うらしい。
「あぁ、前回ので拒否っても無駄だと分かったらしくてなぁ? 今回は簡単に許可してくれたぞ。まぁ、許可降りなくても来てたがな」
それを聞いて頭が痛くなる。
それで大丈夫なのか、と敵ながら心配してしまった。
「だから、心置きなくお前と過ごせるというわけだ」
そういうと、クロウはリィンの腕を掴んでベッドに押し倒した。それに焦るが、力の差は歴然で、抑えつけられている手を振り払うことができない。
「クロウ!? ……っ」
首筋を舐められ、リィンはビクリと身体を震わせる。
「ちょ…なにをやって……!?」
「ん~? 言葉でいくら愛してるとか言っても信用してくれないんだろう? だったら行動で示してやろうかと思ってな?」
ニヤリと悪巧みを考えてそうな笑みを浮かべたクロウに冷や汗をかく。
いくら一人部屋だからといって、いつ誰が来るかわからない状態で、そんな事されて、運悪く誰かが来て見られたらどうするんだとか、誰かに見られたら居心地悪くなるじゃないかとか、リィンは思った。
その前に、自分の立場を考えろとクロウに言いたかった。言ったところで、きっと無駄なんだろうなと、冷静なところで思ったが──。
「まぁ、諦めろよ、リィン」
普通この状態だと抵抗するだろう、と内心思いながら逃げようと試みた結果、散々な目にあってしまった。
「最悪……」
ぐったりと横たわるリィンは機嫌よくしてるクロウを睨みつけるが、目が潤んでいる状態では、いつもの迫力はない。
「リィン、そんな目で睨まれても、人を煽ってるだけだぞ?」
そう言いながら、リィンの肌に手を這わせる。それにビクリと身体を震わせた。
「っ…クロ、ウ……んっ……やめ……」
「まぁ、これ以上やっちまったら、お前寝て過ごしそうだし、我慢するか」
這わせた手を引っ込める。
すでに疲れて寝て過ごしたいと思っているリィンだが、どうやらクロウはそれを許してはくれないようだ。
「リィン、出かけないか?」
「……無理、疲れた……」
「抱えて行ってやろうか?」
「それは拒否するよ。そのまま攫われたら元も子もないし……」
そういうと、クロウは舌打ちをした。その舌打ちを聞き、攫うつもりだったのかと、リィンは呆れ、睨みつけた。
「攫って閉じ込めてしまいたいと思うぐらいには、お前を愛してる──ということさ」
リィンを抱き寄せ、額や頬にキスを落とす。
リィンはしばらく考えていたかと思うと、クロウの背に腕を回した。
「リィン?」
「今日、だけだからな……」
それにクロウは満足そうに微笑み、リィンを力強く抱きしめた。
その後、部屋から出てこないリィンを心配してトヴァルが部屋を訪れたのだが、クロウがまたいたのには驚いたが、幸せそうに二人がぐっすり寝ていたため、そっと部屋から出て行ったらしい。
pixiv [2014年1月12日]
© 2014 唯菜
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