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生まれてきたばかりの赤ん坊に、たくさんのチューブやコードが繋がれていた。
今にも消えてしまいそうな命を救うために医師や看護師たちは24時間体制でその子を助けようとしている。
例え何らかの事情で身内に見捨てられた子供であろうと、絶対に救える命は救えと諦めるなと経営者の方針を守るために医師や看護師たちは絶対に最後まで諦めることもなく日々動いていた。
その後、その生まれたばかりの赤ん坊は医師や看護師たちのおかげでその命をつないだ。
「リィン、今日は何してるんだ?」
外を眺めていると自分の名前を呼ばれた少年──リィンが自分を呼んだ人物の方へと顔を向ける。そこにはよく見知った人物がいて、リィンはふにゃりと笑う。
「今日はね、学校で出された勉強してたんだ。今はちょっと休憩して外見てた」
よく見ると、机にはいくつかの教科書やノートが広げられていた。
「クロウにぃは学校終わったのか?」
「あぁ。どこかわからないところがあったら兄ちゃんが教えてやるからな、リィン」
「うん、ありがとう。クロウにぃ」
クロウと呼ばれた少年は背負っていたカバンをおろし、リィンの頭を撫でる。
リィンは嬉しそうに大人しく撫でられていた。大好きな兄の一人であるクロウが学校から帰宅してきたことが嬉しいのだ。
生まれつき身体が極端に弱く中々外にも出れず思いっきり遊ぶこともまともに学校に行くのもできないリィンにとって、兄と一緒に過ごすことが何よりの楽しみなのだ。自分を優先してくれる二人の兄の一人であるクロウ。面倒見がいいクロウなら学校でも人気があるはずなのに、友達もいると思うのに、何よりも自分を優先して、外で何があったとか色々と話してくれる。
もう一人の年の離れた兄も何かと二人のことを想い、忙しくないときは常に二人のそばにいてくれた。他人から見たら怖い人に見えるかもしれないが、二人にしたら怖くもなく、とても大好きな兄。
リィンがクロウにわからないところを教わっていると、部屋のドアが開き一人の男──マクバーンが入ってきた。二人の兄に当たる人物だ。
「あ、マクにぃ。お仕事終ったのか?」
「あぁ。クロウに勉強教えてもらっていたのか、リィン?」
コクリと頷くリィンの頭をマクバーンは撫でる。クロウに撫でられるのも好きだが、マクバーンに撫でられるのも好きなリィンはとても嬉しそうだった。
こうして、二人の兄に構われることがリィンにとってとても幸せな時間なのだ。
血の繋がりがない三人だが、その様子は実の家族以上のものだ。
「もうしばらくしたらご飯にしよう」
「うん!」
サイト掲載日 [2019年2月18日]
© 2019 唯菜
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